増毛を考える前に、AGA、つまり男性型脱毛症についての基本的な知識を持っておくことは非常に重要です。AGAは、成人男性によく見られる進行性の脱毛症で、主な原因は男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)と遺伝的要因が深く関わっているとされています。DHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合することで、毛髪の成長期が短縮され、太く長い毛に成長する前に抜け落ちてしまう現象が起こります。これにより、徐々に髪の毛が細く短くなり、結果として薄毛が目立つようになるのです。AGAの進行パターンには特徴があり、多くは生え際が後退するM字型や、頭頂部が薄くなるO字型、あるいはその両方が混合したU字型などが見られます。重要なのは、AGAは進行性であるという点です。つまり、何も対策をしなければ薄毛は徐々に進んでいく可能性が高いということです。増毛は、薄くなった部分をカバーし、見た目を改善する非常に有効な手段ですが、AGAの進行そのものを止めるわけではありません。したがって、増毛を選んだとしても、根本的な原因であるAGAへの対策を同時に検討することが望ましい場合があります。現在、AGAの治療法としては、フィナステリドやデュタステリドといった内服薬、ミノキシジルを配合した外用薬などが医療機関で処方されています。これらの治療薬は、AGAの進行を抑制したり、発毛を促したりする効果が医学的に認められています。増毛を検討する際には、まずご自身の薄毛がAGAによるものなのか、どの程度進行しているのかを専門医に診断してもらうことが第一歩です。その上で、増毛という選択肢が自分にとって最適なのか、あるいはAGA治療と併用するべきなのかなど、総合的な観点から判断することが、後悔のない選択に繋がるでしょう。
3月5