栄養不足の抜け毛隠れた病気も?

栄養不足の抜け毛隠れた病気も?

髪の毛の健康は、日々の食事から摂取する栄養素と深く結びついています。特定の栄養素が慢性的に不足すると、髪の毛が細くなったり、抜けやすくなったりすることがあります。そして、その栄養不足の背景には、単なる食生活の偏りだけでなく、何らかの病気が隠れている可能性も考慮しなければなりません。例えば、鉄分は髪の毛の成長に不可欠なミネラルです。鉄分が不足すると鉄欠乏性貧血を引き起こし、頭皮への酸素供給が悪化して抜け毛が増えることがあります。特に月経のある女性は鉄分を失いやすいため注意が必要ですが、消化管からの出血を伴う胃潰瘍や十二指腸潰瘍、大腸がんなどの病気が原因で鉄欠乏に陥っているケースも少なくありません。また、タンパク質は髪の毛の主成分であるケラチンを作るために必須です。極端なダイエットや偏食、あるいは消化吸収機能の低下を引き起こす胃腸疾患などがあると、タンパク質不足に陥り、髪の毛が細く弱々しくなり、抜けやすくなることがあります。亜鉛もまた、髪の毛の成長や皮膚の新陳代謝に関わる重要なミネラルです。亜鉛が不足すると、味覚障害や皮膚炎と共に、脱毛の症状が現れることがあります。亜鉛の吸収を妨げる薬剤の服用や、慢性的な下痢を引き起こすクローン病などの炎症性腸疾患が背景にある場合も考えられます。ビタミンB群、特にビオチンやパントテン酸なども、頭皮の健康維持や毛髪の成長に関与しています。これらのビタミンが不足すると、脂漏性皮膚炎などを引き起こし、間接的に抜け毛の原因となることがあります。栄養バランスの取れた食事を心がけることは大前提ですが、食事内容に気をつけているにもかかわらず抜け毛が改善しない、あるいは他の体調不良を伴う場合は、栄養吸収を妨げるような病気や、特定の栄養素の代謝異常などが隠れている可能性も視野に入れる必要があります。気になる場合は、内科や皮膚科の医師に相談し、血液検査などで栄養状態や隠れた病気の有無を確認してもらうことが大切です。