AGA(男性型脱毛症)治療薬の中には、副作用として「多毛症」、つまり頭髪以外の体毛が濃くなる現象を引き起こすものがあります。この副作用について、特にミノキシジルという成分を含む薬剤でよく見られます。ミノキシジルは、血管拡張作用を持ち、毛母細胞を活性化させることで発毛を促す効果がありますが、その作用は頭髪だけでなく、全身の毛包にも影響を与える可能性があります。ミノキシジルには、頭皮に直接塗布する外用薬と、経口で摂取する内服薬(ミノキシジルタブレット、通称ミノタブ)があります。外用薬の場合、塗布した部分の頭髪だけでなく、薬剤が皮膚から微量に吸収され、血流に乗って他の部位に運ばれることで、顔の産毛が濃くなったり、腕や脚の毛が増えたりといった多毛の症状が現れることがあります。特に、液だれなどで薬剤が顔に付着しやすい場合は注意が必要です。一方、内服薬であるミノタブは、有効成分が直接消化管から吸収され、血流を通じて全身に行き渡るため、外用薬よりも広範囲かつ顕著に多毛症が現れやすい傾向があります。頭髪以外の、眉毛、まつ毛、髭、胸毛、腕毛、すね毛など、全身の体毛が太くなったり、量が増えたりすることが報告されています。この多毛症の副作用は、特に女性にとっては美容上の大きな悩みとなる可能性があります。男性であっても、元々体毛が濃い方や、特定の部位の毛が濃くなることを好まない方にとっては、気になる副作用と言えるでしょう。多毛症の程度には個人差があり、全ての人に同じように現れるわけではありません。また、多くの場合、薬剤の使用を中止すれば、濃くなった体毛も徐々に元の状態に戻るとされています。AGA治療薬、特にミノキシジルを使用する際には、このような多毛症の副作用の可能性について、事前に医師から十分な説明を受け、理解しておくことが重要です。もし、治療中に体毛の著しい変化が見られたり、それが精神的な苦痛になったりするようであれば、自己判断せずに医師に相談し、薬剤の変更や他の対策についてアドバイスを受けるようにしましょう。治療のメリットと副作用のリスクを天秤にかけ、納得のいく治療法を選択することが大切です。
7月3