ストレス抜け毛の裏に潜む病気とは

ストレス抜け毛の裏に潜む病気とは

現代社会において、ストレスは万病の元と言われるほど、私たちの心身に様々な影響を及ぼします。抜け毛もその一つで、強いストレスを感じると自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮して頭皮への血流が悪化し、毛髪の成長に必要な栄養素が届きにくくなる結果、抜け毛が増えると考えられています。いわゆる「ストレス性脱毛症」です。しかし、ここで注意したいのは、そのストレスの原因が、実は別の病気によって引き起こされている可能性があるという点です。例えば、うつ病や不安障害といった精神疾患を抱えている場合、それ自体が大きな精神的ストレスとなり、抜け毛を誘発することがあります。患者さん自身は、まさか自分が精神疾患にかかっているとは思わず、単に「最近ストレスが多いから髪が抜けるのだろう」と自己判断してしまうケースも少なくありません。また、慢性的な痛みや不快感を伴う病気、例えば関節リウマチや線維筋痛症、過敏性腸症候群なども、持続的なストレス源となり得ます。これらの病気による身体的な苦痛が精神的なストレスへと繋がり、結果として抜け毛を引き起こすという構図です。さらに、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、イライラしやすくなったり、落ち着きがなくなったりといった精神的な症状が現れることがあり、これがストレスと感じられ、抜け毛の一因となることも考えられます。睡眠時無呼吸症候群のように、質の高い睡眠が妨げられる病気も、日中の倦怠感や集中力の低下といったストレスを生み出し、間接的に髪の健康に影響を与える可能性があります。したがって、「ストレスで髪が抜けている」と感じた場合、そのストレスの原因を深く掘り下げてみることが重要です。もし、原因不明の長引くストレスや、抜け毛以外の体調不良、気分の落ち込みなどがある場合は、心療内科や精神科、あるいは内科など、適切な専門医に相談することを検討しましょう。ストレスの影に隠れた病気を見つけ出し、適切な治療を受けることが、結果的に抜け毛の改善にも繋がるかもしれません。