頭皮のトラブルが原因で起こる薄毛には、ベタつく脂性のフケが特徴の「脂漏性脱毛症」がありますが、その一方で、パラパラとした乾いたフケが原因となる「粃糠(ひこう)性脱毛症」という種類も存在します。これは、頭皮の極度の乾燥が引き金となる脱毛症です。「粃糠」とは、米ぬかのように細かくカサカサしたフケを意味します。このタイプの脱毛症は、脂漏性脱毛症と症状は似ていますが、原因が正反対であるため、対策を間違えると症状を悪化させてしまう可能性があり、注意が必要です。粃糠性脱毛症のメカニズムは、まず頭皮の異常な乾燥から始まります。乾燥の原因としては、洗浄力の強すぎるシャンプーの使いすぎ、熱すぎるお湯での洗髪、アトピー性皮膚炎などの体質、そして季節的な空気の乾燥などが挙げられます。頭皮が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下し、ターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)のサイクルが乱れてしまいます。すると、未熟な角質が大量にはがれ落ち、これが乾いたフケとなって現れるのです。この大量のフケが毛穴を塞いでしまうと、皮脂が正常に排出されなくなり、毛穴の内部で炎症が起こります。毛穴が炎症を起こすと、そこに生えている髪の毛の成長が妨げられ、健康な髪が育たなくなります。さらに、頭皮の乾燥やかゆみから、無意識に頭を掻いてしまうことで頭皮を傷つけ、炎症を悪化させたり、物理的に髪を引き抜いてしまったりすることも、抜け毛を助長する一因となります。この脱毛症の対策の基本は、原因である「乾燥」を防ぎ、「頭皮に潤いを与える」ことです。まず、毎日使っているシャンプーを見直しましょう。石油系や高級アルコール系の洗浄成分が強いシャンプーは避け、保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸、グリセリンなど)が配合された、アミノ酸系のマイルドな洗浄力の製品に切り替えるのがおすすめです。洗髪時のシャワーの温度も、熱すぎない38度程度のぬるま湯に設定しましょう。洗いすぎも禁物で、一日に何度もシャンプーをするのは避けるべきです。シャンプー後は、頭皮用のローションやエッセンスを使って、しっかりと保湿ケアを行うことも非常に効果的です。それでもフケやかゆみ、抜け毛が改善しない場合は、単なる乾燥ではなく他の皮膚疾患が隠れている可能性もあるため、皮膚科を受診し、専門医の診断を仰ぐことが大切です。
フケや乾燥が原因?粃糠(ひこう)性脱毛症の真実