多くの患者様が薄毛の悩みを抱えて来院されますがその進行パターンは千差万別です。私たち医師は診察の際に国際的な基準である分類法を用いて進行度を判定しますが患者様ご自身でも自宅でチェックできるポイントがいくつかあります。まず注目すべきは生え際の変化です。以前の写真と比較して額が広くなっていないか特にこめかみ付近の角度が鋭くなっていないかを確認してください。AGAの多くは前頭部の生え際かもしくは頭頂部から進行が始まります。生え際がM字状に後退していくパターンは鏡で見やすいため気づきやすいのですが頭頂部から薄くなるパターンは自分では確認しづらいため注意が必要です。進行度を見極める際には髪の太さや質感の変化にも目を向ける必要があります。AGAの影響を受けた毛根からは細く短い毛しか生えてこなくなる軟毛化という現象が起こります。全体的にボリュームが減ったと感じたりセットが崩れやすくなったりするのは本数が減ったからではなく一本一本が細くなっているサインかもしれません。分類法における初期段階では外見上の大きな変化がなくてもマイクロスコープで観察すると軟毛化が確認できることがよくあります。この段階で治療を開始することが将来的な髪の量を維持するために最も効果的です。進行が進んで地肌が透けて見えるようになると分類上のステージも上がり治療に要する期間や費用も増大する傾向にあります。また日本人の場合は欧米人と比べて頭頂部を中心に薄くなる「頂部型」や生え際が後退せずに全体的に薄くなる「びまん性」に近いパターンも少なくありません。ハミルトンノーウッド分類は主に白人のデータを基に作られているためこれに完全に当てはまらないケースも臨床現場では頻繁に遭遇します。そのため私たちは既存の分類法をベースにしつつ日本人特有の進行パターンを考慮した「高島分類」なども参考にして総合的に判断します。自己判断で様子を見るのではなく違和感を覚えたら早めに専門家による正確な進行度の判定を受けることが髪を守るための最善策といえるでしょう。